蒼穹の昴(3)

浅田次郎(著) 講談社

慈悲深き女帝が護る旧世の栄華 憂国の「熱情」は奔流となってほとばしる
疾風怒濤の面白さ。物語はいよいよ佳境へ!
落日の清国分割を狙う列強諸外国に、勇将・李鴻章(リイホンチャン)が知略をもって立ち向かう。だが、かつて栄華を誇った王朝の崩壊は誰の目にも明らか だった。権力闘争の渦巻く王宮で恐るべき暗殺計画が実行に移され、西太后(シータイホウ)の側近となった春児(チュンル)と、改革派の俊英・文秀(ウェン シウ)は、互いの立場を違(たが)えたまま時代の激流に飲み込まれる。amazon:蒼穹の昴-3-講談社文庫-浅田-次郎

教科書では名前しか知らなかった李鴻章の人となりを魅力的に描いていて、彼が制した太平天国の乱にも非常に興味がわきます。中国史の圧倒的なスケール感に酔うばかり。日清戦争や、維新の影響を受けた変法派の台頭など、清国末期に日本が与えた影響の大きいこと。歴史の舞台としても、日本との関わりにしても、この時期のこの場所にのめりこんだ著者の気持ちがわかる気がします。
後半、立て続けにクライマックスシーンが訪れます。4巻とも読んだけど、最大のハイライトはここなんじゃないか?。頁をめくるスピードが遅くなってしまう、小説家の腕の見せ所を満喫。
蒼穹の昴(3) (講談社文庫)
蒼穹の昴(3) (講談社文庫)