これからの「正義」の話をしよう

マイケル・サンデル(著) 早川書房

哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が 潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロール ズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。 ハーバード大学史上空前の履修者数を記録しつづける、超人気講義「Justice(正義)」をもとにした全米ベストセラー、待望の邦訳。amazon:これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学-マイケル・サンデル

読むのに非常に時間がかかりました。すぐに意味を理解できない部分が続出する中、この本を取り上げたブログ記事をググってみると、わかりやすくて2日で読んだなんて文章もあったり。そんなに簡単かなあ?
解決の難しい問題をいくつも上げて検証する。その検証の材料として、カントやアリストテレスベンサムなどの過去の哲学者の思想をあてはめていく。しかし安易に何を持って正義は明示されません。著者は「幸福の最大化」「正義と自由の結びつけ」「美徳の奨励」の3つのアプローチの中から、どの思想が何に属するか当てはめテイク。最終的にはそれぞれの問題点を指摘し、自らは「美徳の奨励」に与するコミュニタリアンであるとし、一応の解答を示して本は終わるのです。
しかしまたこれが腑に落ちないというか、わかりにくいというか。絵に描いた餅にも見えるし、著者は否定していますが一国だけの理想であって、世界全体に普遍的なものとは思えない。私にはカントの方が「なるほど」と唸りましたし。
しかしなんで今彼がブームなのかが不思議です。
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学