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村上春樹(著) 新潮社
新聞やネットの書評は概ね好評のようですね。私は実は期待はずれでした。1と2を読んでから随分時間が経ってるので、最初どういう話か細かいところまで思い出せなかった。一度に3冊出ていたら、もっと面白く読めたことでしょう.世間の意見を聞いたうえで、納得してもらえる結末を書いたのかもしれませんが。
SFミステリーな要素が強いと感じますが、頭が悪くて理解できない部分も多いです。1と2では、例えば建物の様子を断片的に見せて、その大きさや形に驚かされる。その全体像を見せたのが最終巻。こことここが、こういう風に繋がってるんだよと、広げた風呂敷をたたんではくれている。ただ、風呂敷は広げた時の方が楽しい。これも全巻一気に読んだら感想は違ったでしょう。たたんでいくだけの話を読んでも、あまり興奮できませんでした。
新興宗教や家族の問題といった、現代社会の抱える大きな問題に正面からぶつかった作品と思ってたのも、最後に裏切られました。それらは芯ではない。違う設定でも作品は成立したはず。BOOK3だけは、少し分けて考えてもいい気がします。
大人になったら教科書に出てくる文豪の作品を読んでいこうと思ってた私に、村上作品との出会いは衝撃的でした。明治時代まで遡らなくても、いまこんないすごい作家がいるのかと。おそらく、後の未来にも読み続けられる作家でしょう。

1Q84 BOOK 3
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