電子書籍の衝撃

佐々木俊尚(著) ディスカヴァー・トゥエンティワン

『2011年 新聞・テレビ消滅』!? では、本はどうなる!?
キンドルに続き、アップルiPad 登場。それは、本の世界の何を変えるのか?
電子書籍先進国アメリカの現況から、日本の現在の出版流通の課題まで、
気鋭のジャーナリストが今を斬り、未来を描く。
本が電子化される世界。
それは、私たちの「本を読む」「本を買う」「本を書く」という行為に、
どのような影響をもたらし、どのような新しい世界を作り出すのか?
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iPadを筆頭に、タブレット式の端末が話題です。書籍も電子化すると言われています。果たして現況はどうなのか知りたくて手に取りました。
iTunesに至る音楽業界の動きが、出版業界に先行するものと詳細が書かれています。変化が著しいネットビジネスの世界を垣間みれて面白い。この世界、進化が早く、動きも細分化されていて把握が難しいにも関わらず、我々と直接繋がれるゆえに知らないで取り残されてる感覚が常にあるんですよね。
電子書籍に関しましては、米国と違いまだまだ日本では実用化に時間がかかりそう。将来的には書庫の必要がないこの形式での書籍の保有は、読書家には好ましいといったところでしょう。まだ日本では「衝撃」とはほど遠い。
本好きとして、出版業界の問題点に書かれてる部分は興味深く読みました。取り次ぎが中心になって、POSレジ主導の均一化した個性のない書店が増えてる点には同意。地元で大きく展開してる書店の品揃えにも感じる大きな不満。その一方で、面白い書き手はたくさんいるし、こちらがその気になれば読みたい本は山ほどある。良書が多くの読者と出会うきっかけが、電子書籍化で生まれるなら、読み手と書き手の両方に取って幸せなことです。
アテンションエコノミー」という言葉が紹介されていました。人間が活動する有限な時間を取り合うため、どうやって関心を惹き付けるかという問題を表す言葉。常に意識させられてる事柄を表現する言葉があったんですね。こうやってコンテンツが無数になってきてる現在、ソフトとハードの両面で、その概要すら個人が把握することは困難だし、関心と無関心のバランスをそれぞれの生活スタイルに合わせて取ることが大切。メディアに踊らされることなく。
電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)