百貨店戦国時代

川嶋幸太郎(著) 産経新聞

大丸と松坂屋が統合してそれまでトップを走っていた高島屋を抜いて業界第1位となった直後、三越伊勢丹の統合でトップの座が入れ替わった。また、親会社 が敵対関係にあった阪急と阪神も統合されるなど、これまでの常識では考えられなかった統合・合併が行われている。こうした大規模百貨店の統合は地方の中小 百貨店にも影響を与えないではおかない。まさに業界の再編、百貨店戦国時代の到来である。
本書は、この業界一筋に取材を続けて30年、百貨店の経 営を知り尽くした著者が、こうした戦国時代の百貨店の動向を見ながら次世代の百貨店のあり方を考える。amazon: 百貨店戦国時代-塗り替えられる業界地図-川嶋-幸太郎

06年の資料を基にして08年に出版された本書の内容は、いまから見ると先の見通しに甘さが感じられます。百貨店の統合が相次ぐなか、とりわけ三越伊勢丹HDの出現の衝撃が執筆動機かと思われます。
両社の長所をうまく取り込めば、弱点を補強し合うであろうとの分析。現実には伊勢丹の本拠地である新宿の消費者層と地方のそれとの懐具合の差などが、客離れお引き起こしていると感じなくもない。それでも、割引が百貨店に強いいる痛みを軽減させることの方が優先課題なのかもしれませんが、現場レベルでは不満の声を数多く聞きます。
百貨店って資本主義のいい面がアピールされているような、歩いてると嬉しくなる場所。デパートが活気づくことはこの国が活気づいてることの証。直接間接に携わってる企業は数知れない。他人事ではありません。
百貨店戦国時代 塗り替えられる業界地図
百貨店戦国時代 塗り替えられる業界地図