信長軍の司令官

谷口克広(著) 中央公論新社
司馬遼太郎の小説で、織田氏の「方面軍」に関する記述があったのに強く興味を惹かれてました。柴田勝家羽柴秀吉明智光秀丹羽長秀滝川一益といった武将が何万もの軍勢を率いて単独で前線に立ち、統一戦を戦っていた。それは大名に近く、以前から抱いていた家来という範疇のものじゃありませんね。
明智も素性が不確かですが、滝川には忍者出身との説もある。この本はそれを否定しているものの、巧みな人事や組織作りが織田軍の強さの秘訣だったのはたしか。経済政策や宗教対策など、志半ばで倒れたとはいえ、日本史に強烈な存在感を残しています。
桶狭間や美濃進行、姉川、長篠・・・有名な戦いがたくさんあるのですが、実は一向一揆対策に費やした労力は大変なもの。この本は組織人事に焦点を当てていて戦いについての詳細はあえて記述を避けていますが、信長や秀吉の本願寺対策ってのがまた興味深いですし、歴史上の大きなタブーのようでもあるんですよね。ドラマや映画に描かれる天下取りは、大名殲滅に焦点を当ててるけど、実際はもっと複雑のようです。
被差別部落形成は“一向一揆”の敗退後~本願寺も一役 - 耳を洗う
信長軍の司令官—部将たちの出世競争 (中公新書)
信長軍の司令官—部将たちの出世競争 (中公新書)