ケインズの予言

PHP新書だから岩波より読み易いでしょうという想像は甘かったです。アダム・スミスについて書かれた上巻にもいえますが、純然たる経済学の本で手強い。グローバリズム、および新自由主義批判の書。お金とは交換の手段でしかない「経済の脇役」であるはずなのに、実体経済以上に世界中を席巻してる状態は異常だという。よくある言説ですが、10年近く前に書かれておりながら、大金融危機の真っ最中に読んでも古さを感じない。私には難解ながらも、次から次に現在を理解する手助けとなる文章が現れます。後半はケインズからさらに世界経済や日米経済摩擦に頁を割いてます。これは分かり易い。読んでると、90年代の押し付けられた構造改革は、二度目の敗戦に思えてきました。将来への展望としましては、「優雅な没落」という表現を使って説いてます。
ケインズの予言 | 佐伯啓思著 | 書籍 | PHP研究所