阪神タイガースの正体

どうして今のようなタイガース人気が生まれたのか検証する本。その歴史は案外浅くて驚き。職業野球草創期や2リーグ分裂について多くを費やしてますが、勉強になりました。

それにしてもと思う。阪神ファンの多くは、この球団にアンチ「巨人」の夢をたくしている。反体制の幻想を投影することだって、ないわけではない。体制に従属し保身をはかった球団が、抵抗のファンタジーをかきたてる。なんとも皮肉な現象である。世間に流通している他の反体制幻想も、わりびいて考えたくなる。

直前になってセ・リーグに行った裏切り的行為が、巨神戦を生み、後の繁栄に繋がったのが大きいし、上記のような皮肉めいた文章で表現されてます。事実そうなんでしょうが、それでもいまさらファンをやめられません。この本の著者がそうであるように。
筑摩書房 阪神タイガースの正体 / 井上 章一 著