カラマーゾフの兄弟

光文社古典新訳文庫版「カラマーゾフの兄弟」全5巻を、4月頭から約2ケ月かけてようやく読み終えました。「カラキョー」と略去る程の人気を博し、すらすら読めると評判の新訳ですが、平仮名を多用する言葉回しや句読点の位置が肌に合ったとは言えず、立ち読みでチラ見した新潮社版の方が逆に合うような印象も持ちました。長い小説です。これから読まれる方がいらしたら、その辺りじっくり吟味してから手に取られるのが良いと思われます。

訳者の亀山氏は以下のように解題で書いてます。

カラマーゾフの兄弟』のテーマをひとことで言い尽くすことはもとより不可能であり、読み手は、それぞれの人生経験を踏まえ、自分なりのテーマを探しあてなければならない。この作品には、あらゆる世代の人に応えるだけの内実がそなわっている。それが古典と呼ばれるものの所以である

まさにそうだと思います。日頃国家や宗教、ましてや父殺しについて考えてない私は、ドミートリーのグルシェーニカに対する愛を物語の中心に据えて読みました。途中うなる表現がたくさんあったにも関わらず、最終的に印象に残ってるのはその部分。自慢出来る事ではありませんが、正直な感想。