誰も知らない

2004年(日) 是枝裕和監督

とある2DKのアパートに、スーツケースを抱えた母親・けい子と息子の明が引越ししてくる。アパートの大家には「主人が長期出張中の母子2人だ」と挨拶をするが、実はけい子には明以外の子どもが3人もおり、スーツケースの中には次男の茂、次女のゆきが入っていた。
長女の京子も人目をはばかり、こっそり家にたどり着く。子ども4人の母子家庭…事実を告白すれば家を追い出されかねないと、嘘を付くのはけい子の考え出した苦肉の策であった。けい子は、大家にも周辺住民にも事が明らかにならないように子どもたちに厳しく注意する。子どもたちはそれぞれ父親が違い、出生届すら出されておらず、学校に通ったことさえない。
当面は母が百貨店でパートタイマーとして働き、母の留守中は明が弟妹の世話をして暮らしていたが、新たに恋人ができたけい子は留守がちになり、やがて生活費を現金書留で渡すだけでほとんど帰宅しなくなる。兄弟だけの誰も知らない生活が始まる。唯一兄弟たちのことを知っている高校生の紗希も、京子とゆきと茂の面倒をみることになる。渡された生活費も底をつき、子どもだけの生活に限界が近づき、料金滞納から電気・ガス・水道も止められる。明は知り合いのコンビニ店員から賞味期限切れの弁当をもらうなどして兄弟たちは一日一日を必死に生きのびることになる。ある日、その日もコンビニで弁当をもらいに行きマンションに戻ると、ゆきが椅子から落ち動かなくなっているのを見つける。明と紗希は、旅行ケースの中にゆきの遺体とゆきの大好物だったアポロチョコを入れる。明と紗希の2人は、ゆきの遺体が入った旅行ケースを運びながら電車に乗り、羽田空港の近くの空き地に運び、明と紗希は土を掘り、掘った穴に旅行ケースを埋める。そして2人は無言でマンションに戻るのであった。ゆきがいなくなった明と京子と茂と紗希の、誰も知らない生活が再び続いていくwikipedia:誰も知らない

実話をモチーフにしてるという説明文が、冒頭に現れます。これって結構昔の事件なんですね↓。
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/nisisugamo.htm
親は何をしてるのか。子ども達の出自はどうだったのか。彼らはなぜ学校に行かず、生まれてからどのような暮らしをして育って来たのか。謎が頭を占めながら、話は進んで行きます。どんな形で希望あるエンディングを迎えるのかという期待を裏切る、絶望的なストーリーを。
生活が追いつめられる一方、新たに登場する韓英恵の存在が、作品にいいバランスを与えてくれます。子ども達も、ただ悲惨なだけじゃなく、逞しい。人間の生命力が表現されてもいる。
都会の孤独と育児放棄(ネグレクト)は、映画公開当時はおろか、この現在もさらに深刻な問題となっており、社会性は高い作品です。
子どもに接してる時の母親、とても素敵なんですけどね。
誰も知らない [DVD]
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